二人の商人



二人の商人が別々に峠道を登っていた。焼けつくような暑さの中、重い商品を山ほど背負って

険しい坂を登っていくのは、本当に苦しいことだった。

途中、木陰に荷物を下ろして休んでいると、一人の商人が汗を拭きながら嘆いた。

「本当にこの山がもう少し低いといいんですがね。稼業とは言え、

こうも険しい坂を登るんでは、いっそ行商をやめて、帰りたくなりますよ」

これを聞いたもう一人の商人は額の汗を拭きながら、にっこり笑ってこう言った。

「私はこの山がもっともっと、いや十倍も高くなってくれれば有難いと思います。そうすれば

たいていの商人はみな、途中で帰るでしょう。そのときこそ私は一人で山の彼方へ行って、

思うさま商売をしてみたいと思います。この山がまだまだ高くないのが、私には残念ですよ」



どんな仕事にも、その仕事特有の苦労がありますが、「キツイ、大変、面倒くさい」と、

その仕事に就きたくないと思う人が多ければ、多いほど参入障壁になり、

それが逆に独占的な市場につながるチャンスでもあることの教訓です。

靴のセールスマン

靴の製造会社の経営者が南の孤島に靴の市場が存在するかどうか知りたくて、

一人のセールスマンを派遣した。その男は、現地の様子を見てすぐに電報を打った。

「島の人間は靴を履いていません。よってここには市場は存在しません」

納得のいかない経営者は別のセールスマンを派遣した。その男からの電報は

「島の人間は靴を履いていません。よってものすごい市場が存在します」

これにも納得いかなかった経営者は、さらに別のセールスマンを派遣した。

彼からの電報はこうだ。

「島の人間は靴を履いていません。そのため彼らの足は傷つき、あざもできています。

私は部族長に靴を履くようになれば島民は足の悩みから解放されると説明しました。

部族長は非常に乗り気です。一足10ドルなら島民の70%が購入するとのことです。

おそらく初年度だけでも5000足は売れるでしょう。輸送費のコストを差し引いても

大きな利益が生まれる可能性のある事業だと思われます。早急に話を進めましょう」



需要は探すのではなく、つくり出すものですが、二人目と三人目のセールスマンは、どちらも

「ものすごい市場があるかもしれない」という可能性を感じた点は同じですが、

二人目のセールスマンはそこで終わりました。それに対して、三人目のセールスマンは

その可能性を一歩踏み込んで、需要をつくり出し話をまとめた点です。

仕事とは100%が当たり前で、いかに120%、150%にするかで、その人の価値、評価につながる教訓です。

倒れるまで

すこぶる模範的な修行僧がおり、王は次のように言った。

「褒美をとらせる。なんなりと望みのものを申せ」

彼は「何とぞ、私に土地をください。そこに一棟の寺を建ててくださりませぬか」と

お願いした。王はさっそくその願いを受け入れ「では、お前がかたときも休まずに走り続けて、

行き着いたところまでをお前の寺院の土地として進ぜよう」

彼はこれを聞くと、直ちに身軽な服装で走り始めた。終日休むことなく走ったので徐々に

疲労を覚えた。しかし、一寸でも余計に土地が欲しかったので、へとへとになりながらも、

なお走ることを止めなかった。最後には一歩も足が出ず、ついには地上に倒れこんでしまった。

それでも地にふして、転げたり、這ったりして前に進んだ。もう一歩も進めなくなったので、

彼は手に持った杖を前方に投げて「この杖の行きついたところまでが俺の土地だ」と叫んだ。



何かを手に入れてしばらくすると、それが当たり前になってしまい、次に「もっと」に向かう。

人間の「もっと、もっと」に果てがないので、欲望に一定の歯止めをかける心構え

身につけることで、度を超すことなく、ほどよく節制することの教訓です。

カエルの登山

一度は山に登ってみたいと思っていたカエルが10匹集まった。

みんなで一緒に登ろうじゃないか、ということになり、山のふもとに集合した。

しかし、見送りにきた仲間たちはみんな野次を飛ばすばかりだった。

「登れっこないだろう!行くだけ無駄だぜ、やめとけ、やめとけ」

それでも10匹は出発し、びょこぴょこと小さい足で跳ねながら、山に登っていった。

やがて中腹に指しかかったところで、ウサギたちと出会い、

「頂上に登る?無理だ無理だ!この山はすごく高いんだ。そんな小さい足で登れるわけないよ!」

これを聞いて、すでに疲れきっていた5匹はそこで諦めた。

残った5匹の前には、いっそう険しい上り坂が待っていた。

やがてモミの樹海に入ると、こんどは野ネズミと出会い、

「頂上まで行くなんて、カエルさんたちには無理ですよ。あまりにも無謀です。

とんでもないですよ!」と野ネズミたちも口々に叫んだ。

そこで2匹のカエルが諦め、残った3匹はなおも進み、

ほんの少しずつではあるが、とにかく頂上を目指して進んで行ったのです。

ぴょこん、ぴょこん、と少しずつ。

やがてこんどは高山のヤギたちが現われ、カエルたちの様子を見て笑いました。

「もう下りたほうがいいんじゃないのか?その調子じゃあ、ひと月かかったって頂上に

着きゃしないだろ」

ここでまた、2匹が脱落した。これで残ったのはたた1匹になってしまった。

しかし、この1匹は、それからずいぶん時間をかけて、とうとう頂上にたどりついたのだ!

その1匹が無事山を下りてくるのを待って、仲間たちはいっせいに聞いた。

「いったいどうやって登りきったの?」

でも、そのカエルはただひと言、

「何?」と聞き返しただけだった。

そこで仲間たちはもう一度大声で聞いた。

「どうやってこんな快挙を成し遂げることができたんだい?」

すると、そのカエルはまたしてこう聞き返した。

「何?何?何?」

実はそのカエルは耳が聞こえなかったのだ!



何かを行動する時に周りの声がブレーキとなりそれが障害となって行動が止まります。

「やめろ、無理だ、できない、無駄だ、諦めろ」こんな言葉を発する人は、あなたの身近にいな

いでしょうか?  この言葉が聞こえなかったカエルだけが目標を達成できました。

人は身近な人の意見には弱いもの、「ドリームキラー」とう人の意見に屈せず、

自分が決めた目標をひたすら進むことの教訓です。